構造関係基準に関するQ&A


質問内容回答
質疑番号141
構造種別その他の構造
技術基準解説書176ページ
公開日2010/03/05
備考Q&A作成SWG
「壁式鉄筋コンクリート造設計施工指針(2003)」では、p.16「平屋建建築物または建築物のごく一部の階高が3.5mを超える場合は、特別な検討を行わなくてもよい」としており、平家建の場合は階高3.5mを超えても保有水平耐力計算は不要と考えられるが、告示(H13-1026号)と整合していない。当該部分の規定の趣旨に関しては、講習会における質問と回答(ビルディングレター2007年4月号)において、「平家建ての建築物において、ごく一部の階高が3.5mを超える場合、もしくは平家建て以外の建築物の各階の階高のごく一部が3.5mを超える場合」としており、全体として階高が3.5mを超える場合は、もともと対象としていない記述です。したがって、告示において階高の制限を設けていることは、当該指針の考え方と整合していると判断できます。
水回り等で、計画上一部分の高さが制限値を超える場合など、どの程度までが「ごく一部」であるかについては、一律の判断基準はなく、個々の計画に照らして、審査・判定が行われます。
質疑番号133
構造種別その他の構造
技術基準解説書
公開日2008/10/23
備考(確認・検査・適合性判定の運用等に関する質疑No337 と同じものを掲載しています。)
図のような地下の工作物(鉄道施設)の上部に、建築物を設ける複合構造物として計画する場合の構造設計について、建築基準法、鉄道事業法等の法令の適用を踏まえ、下記のような条件で設計して差し支えないでしょうか。
1 地下の工作物(鉄道施設)については、鉄道事業法による認可等において、構造設計(上部の建築物等の荷重・外力の条件を含む。)に関しても審査を受けるため、当該工作物の構造躯体は建築基準法の適用を受けないものとして構造設計を行う。
2 上部の建築物部分の構造設計にあたっては、建築基準法構造関係規定に適合するものとして行う。また、構造計算にあたっては、1の認可により審査済みである工作物(鉄道施設)の部分を含めて構造物全体をモデル化する。この構造計算に用いる工作物部分のデータについては、1の認可を受けた構造設計資料における必要な重量(質量)、剛性、接合条件等を用いる。
3 建築物と工作物の接合部分(境界部分)の設計については、接合部分に生じる圧縮・引張り力、曲げモーメント、せん断力等の力の伝達及び変形の連続性が適切であることを確認し、建築基準法構造関係規定に適合する構造方法を用いる。
4 複合構造物の基礎及び地盤の設計については、工作物部分を建築物部分の基礎と仮定して、荷重を地盤に伝達し、有害な沈下、変形等が生じないことが検証されていることを確認する。この検証にあたっては、1の認可を受けた構造設計資料のデータを用いる。
一つの事例としては、ご質問のとおりの方法で扱うことは考えられます。
具体的な事案に関する法令上の扱いは個々のケースごとに、所管の特定行政庁に相談してください。
質疑番号132
構造種別鉄筋コンクリート造(RC)
技術基準解説書357ページ
公開日2008/07/23
最終更新日2008/08/01
板状のRC造共同住宅のような張り間方向が1スパンで全層連層耐力壁となる架構の建築物について、連層耐力壁の構面を基礎固定(浮き上がり変形を拘束)として必要保有水平耐力(Ds)を求める場合、
1)保有水平耐力を計算するに当たっては、別途基礎の浮き上がりを考慮して保有水平耐力を求めなければならないのか。
2)また、基礎の圧壊の検討も必要となるのか。
1)については、張り間(耐力壁)方向の保有水平耐力計算において、必要保有水平耐力(Ds)を基礎固定として算定する場合には、保有水平耐力についても基礎固定として算定することで構いません。
 この質問にあるような1スパンの耐力壁架構に関しては、Dsの算定と保有水平耐力の計算との連続性(構造計算上の仮定やモデル化の一貫性)に配慮するという、工学的な判断に基づき、それでよいこととしています。
2)については、塔状比が4を超える場合には、平19国交告第594号第4第五号の規定により、C0を0.30以上とした地震力あるいは保有水平耐力に相当する地震力のいずれかを用いて建築物の構造計算を行った時の支点反力に対し、局所的な浮き上がりはあっても、建築物全体が転倒する崩壊メカニズムとならないことを確認し、地盤の圧壊および杭の引き抜きと圧壊に対する検討をする必要があります。基礎固定として計算した全層の必要保有水平耐力用のDsが0.3を上回る(例えばDs=0.55など)場合でも、全体転倒の検討は、C0を0.30以上として建築物の構造計算を行った時の支点反力により検討を行えばよいことになります。
 塔状比が4以下の場合には、このような検討は義務付けられていません。
 なお、上記の2つの回答は、いずれも保有水平耐力の計算における扱いについてであり、一次設計においては、直接基礎の場合、全体として浮上りが生じないことを確認する必要があること、圧縮側で接地圧が地盤の短期許容応力度を超えないことを確認する必要があることは、構造計算の前提として満足しなければなりません。また、杭基礎の場合、引張側で引抜き力が杭の短期許容引抜き抵抗力を超えないことや圧縮側で鉛直力が杭の短期許容支持力を超えないことを確認する必要もあります。いずれの場合についても、計算上で支点に局所的に引抜きが作用する場合には、平19国交告第594号第2第一号ロの規定などに基づき、力のつりあい条件を満足するような検討が必要です。このとき、直交ばり等で隣接する架構に力を分担させる等の検討を別途行うことで、実際には浮き上がりや転倒が生じないことを示すこともできます。
質疑番号131
構造種別その他の構造
技術基準解説書464ページ
公開日2007/07/24
最終更新日2008/07/08
平13国交告第1025号の壁式ラーメン鉄筋コンクリート造について、「壁式ラーメン鉄筋コンクリート造設計施工指針」(以下「HFW指針」という)では、設計用一次固有周期の算定式をT=0.012Hとしていますが、昭55建告第1793号第2では、T=0.02Hとなっています。指針にあるT=0.012Hを採用してよいのでしょうか?HFWの設計用一次固有周期については、HFW指針第5章5.1の解説3)にあるように、HFWガイドラインでの検討の結果として高さ20m以下ではT=0.02H、30m以上ではT=0.012Hが精算値とよく整合すること、中・低層では安全側であるため同指針では規模によらず一律T=0.012Hを略算式として用いるとしたことが示されています。したがって、技術的には T=0.012Hの式を用いることが望ましい(高さ20m以下であればT=0.02Hも可)と考えられます。
法令上も、昭55建告第1793号第2の規定にはただし書きがあり、特別な調査又は研究による場合には異なる式を用いることができるものとされています。HFWガイドラインでの検討はこれに該当すると考えられますので、T=0.012Hとすることは差し支えありません。
なお、ただし書きを根拠としてT=0.012Hとする略算式を用いる場合には、メカニズムは梁崩壊形を確保するものとし、低層のものに対してはDsを大きく設定するなど、同指針の考え方とセットで適用されるべきであり、逆に、同指針に適合しないHFW造である建築物や他の構造形式の建築物について、同指針をもってただちに昭55建告第1793号第2の規定のただし書きの根拠とすることはできないことに注意が必要です。
質疑番号127
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書1ページ
公開日2008/06/23
建築確認審査において、建築確認申請書に添付された指定性能評価機関等が発行する技術評価の証明書等(建築技術審査証明書や任意の技術評定書等)を、構造規定のただし書き等における「特別な調査又は研究」に該当するものとして法適合性の判断を行うことは可能か。建築基準法令において位置づけられていない、指定性能評価機関等が各機関の自主事業として実施している技術評価の証明書等については、施行規則上の確認申請添付図書としての規定はなく、審査等にあたっての取扱いのルールもありません。また、証明書等の内容は、申請者が申告した事項についてのみ証明している場合があり、確認審査や適合性判定に必要な事項が不足していることもあり得ます。したがって、証明書等の添付をもって建築基準法令の規定の確認審査に代える(当該規定の審査を省略する)ことはできません。
しかし、施行規則第1条の3等に規定された図書のうち、構造規定のただし書きあるいはそれに相当する適用除外規定についての「規定に適合することの確認に必要な図書」や、構造計算書の「特別な調査又は研究の結果等説明書」等における明示すべき事項として、これらの証明書等が添付された場合、その内容を参考に審査を行うことは可能です。なお当然ながらその場合には、これらの証明書等が、各規定の適合性の判断の参考として適切な内容のものであることが前提となります。具体的には、下記を含め必要な事項が確認できるものでなければなりません。

・その技術評価が信頼できる適切な体制及び手続きにより実施されていること
・技術評価のために実施された解析・試験・実験等の方法(法令において試験・実験等を用いることができる規定がある場合においては、その規定に従って実施されているものに限る)や評価をした判断の基準又は根拠が明示されており、それらが対象建築物の当該規定に対する適合性判断の根拠として適切なものであること
・特殊な技術によるもの等で、実際に建築物に当該技術を採用した場合の施工性や耐久性、使用材料の品質などについて評価が必要であるものである場合には、それらについて適切に評価がなされており、その旨明示されていること
・技術評価結果の適用範囲や構造詳細等の適用条件が明示されており、対象建築物がそれに該当すること
・当該規定の改正が行われており、証明書等の発行時期がその改正以前である場合には、技術評価の内容が改正後の規定の判断にも有効なものであること
質疑番号128
構造種別鉄筋コンクリート造(RC)
技術基準解説書620ページ
公開日2008/06/23
SD490はRC規準に含まれていないが現状で使用することができるか?RC規準(1999)ではSD490は適用範囲外ですが、これを適用できるものとして扱ってかまいません。ただし、その際のコンクリート強度は24N/mm2以上とします。
また、一次設計における付着の検討など、1991版による設計とする場合も、コンクリート強度を24N/mm2以上とすることでSD490を用いることができます。なお、現在改訂作業中のRC規準において、SD490の扱いを含めて整理される予定でありますので、そこで今後示される内容によることも可能であると考えられます。
質疑番号123
構造種別その他の構造
技術基準解説書395ページ
公開日2008/02/22
最終更新日2008/06/23
備考2008/2/22修正
基準解説書p.395の告示の解説部分で、ルート1の建築物として取り扱いが可能な場合で、1階部分が壁式鉄筋コンクリート造(WRC)である場合も、偏心率(0.15以下)計算不要と読めるが、それでよいか?地上部分の各階をルート1とする条件(平19国交告第593号第三号)を満足すれば、1階部分について、偏心率の計算を行う必要はありません(壁式鉄筋コンクリート造の構造部分について、平13国交告第1026号の規定が適用されます)。
同告示第四号の規定による場合には、1階部分の偏心率の計算が必要となります。
質疑番号130
構造種別その他の構造
技術基準解説書464ページ
公開日2008/06/23
「構造審査・検査の運用解説(平成20年2月22日修正版)」のp.40において、平14国交告第666号の膜構造について、令第81条第2項第1号イに規定される構造計算を行った場合には、構造計算適合性判定を要することが示されていますが、平19国交告第593号第八号の「イ 平14国交告第666号第1第2項第一号ロ(1)から(3)までに規定する構造方法に該当するもの」として、令第81条第3項の構造計算(ルート1)によるものは、構造計算適合性判定を要しないことでよろしいか?ご指摘のとおりの扱いになります。
質疑番号125
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書208ページ
公開日2008/03/14
令第138条における風車の取り扱い及び高さの算定基準について、法令上の解釈はどうなっているか。風車は令第138条で指定される工作物のうち同条第1項第二号の「その他これらに類するもの」に該当し、高さの算定は工作物の下端からブレード(風車の羽)端の最高到達位置までとします。なお、構造関係規定の検討については、風車を支持する柱部分の安全性について確認するものとします。
質疑番号126
構造種別全体(材料・計算一般・行政的扱い)
技術基準解説書288ページ
公開日2008/03/14
常時荷重の20%以上を支持する「端部の柱」の定義ですが、例えば、張間方向1スパンの場合、張間方向は全て側柱となりますが、本告示の「端部の柱」に該当するのでしょうか。たとえば6本柱の隅柱以外の柱も「端部の柱」に該当するのでしょうか。又、最上階のみ4本柱となる場合、当該階のみの割増しを行えばいいですか。「端部の柱」とは、いわゆる隅柱のことであり、その他の柱は、外周部にあっても該当しません。よって、6本柱の場合には、四隅の柱は対象となりますが内側の2本の柱は対象になりません。また、最上階のみ本規定の条件に該当する場合、当該階のみ割増しを行うことで差し支えありません。その他、斜め方向の検討を代替するために層せん断力の割り増しに基づく検討を行う際には、基礎構造を当該層せん断力に基づき設計する必要はありません。(ただし、検討しておくことが望ましいといえます。)

下図の6本柱の場合、○印の4つの隅柱が検討の対象となります。